SSブログ

与謝野晶子 [文学]

 冷たい夕飯・・・・与謝野晶子作

ああ、ああ、どうなって行くのでせう。
智恵も工夫も尽きました。
それがわずかなおあしでありながら、
融通の附かないと云ふことが
こんなに大きく私達を苦しめます。
正しく受取る物が
本屋の不景気から受取れずに、
幾月も苦しいやりくりや
恥を忘れた借りを重ねて、
ああ、たうとう行きづまりました。
人は私達の表面(うわべ)を見て、
くらしむきが下手だと云ふでせう。
もちろん、下手に違ひありません、
でも、これ以上に働くことが、
私達に出来るでせうか。
また働きに対する報酬の齟齬(そご)を
これ以下に忍ばねばならないと云ふことが
恐ろしい禍ではないでせうか。
少なくとも、私達の大勢の家族が
避け得られることでせうか。
今日は勿論家賃を払ひませなんだ。
その外の払ひには
二月(ふたつき)まへ、三月まへからの借りが
義理わるく溜っているのです。
それを延ばす言葉も
今までは当てがあって云ったことが
巳(や)むを得ずうそになったのでした。
しかし、今日こそは、
うそになると知ってうそを云ひました。
どうして、ほんたうの事が云はれませう。
もう私達はてんぷくするでせう、
隠して来たぼろを出すでせう、
体裁を云っていられないでせう、
ほんたうに親子捨何人(じゅうなんにん)が餓えるでせう。
全くです、私達を
再び立て直す日が来ました。
恥と、自殺と、狂気とにすれすれになって
私達を試みる
赤裸裸の、極寒の、
氷の中の日が着ました。        1917,12


 2008年から始めた、英語での描詠朗読で、私の深部でマグマのように熱くなっていく、
 与謝野晶子!!

 上記の詩は、正に時代を超えて、現代の世相そのものを言い表しています。

 全てが、どっち付かずで、日本人としての潔さを、強く求めてしまうこの頃,,,,,.
 とても、とても、強く、与謝野晶子の作品描詠をしたい、、、、!!

 不思議なことに、英語で表現してから、日本語に移ったほうが、作品内容がより深く体内に浸透するのです。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。